2017年2月9日木曜日

思春期食思不振症

思春期食思不振症という病気があります。
神経性無食欲症ともいわれ、字の通り、思春期の人が食欲がなくなるというものです。発症はほとんどか10代で、10代後半から20代前半に病気のピークがあります。10代~20代の女性の1000~500人に約1人で発症します。男女比は1:10~20と女性に高く、最近増加傾向で、低年齢化しています。一人っ子の女の子、末っ子の女の子、男兄弟の中に一人いるような女の子に発症頻度が高くなっています。

心理的病因として、自己像の混乱、女性としての成熟恐怖、完全癖、強迫傾向、兄弟葛藤などがあります。また、社会的病因として、社会全体が痩せを称賛するようなダイエット雑誌・ダイエット食品の氾濫などが、複雑に絡み合って身体症状を形成しています。そのうえ、身体症状が精神行動面に影響を及ぼして悪循環を形成しているという病識に乏しく、治療が難しい疾患です。

長期予後では、3分の1が治癒、3分の1が慢性化、3分の1が悪化し、10年後の死亡率は10~15%、 20年後の死亡率は15~18%という報告もあります。死亡率で10%~18%と言えば、心疾患や脳血管障害とほとんど同じです。

思春期食思不振症は簡単に言えば、ストレスによって起こる精神疾患です。うつ病などとはすぐ近くにある病気ですね。摂食障害は食欲の病気ではなく、自尊心の病気と言われています。摂食障害は境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害との合併、あるいはパーソナリティ障害の一部となっている場合があります。

治療としては、栄養補給に加えて精神疾患の治療を行いますが、3分の1しか治癒しないかなりの難病です。若い内の無理なダイエットは一生苦しむことになりかねないので、食生活に注意しましょう。

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