活断層は全国に2000本あると言われています。現在はそのうちの98本を主要活断層として、調査等を行っています。活断層は1000年間のズレの速度によって、AA級(10m以上)、A級(10m~1m)、B級(1m~0.1m)、C級(0.1m~0.01m)に分けられます。階級が高いほどストレスが溜りやすいので、短いサイクルで地震を起こします。「今後30年間の地震発生確率(最大値)が3%以上の場合、主な活断層の中では高いグループに属する」という、地震調査委員会の発表を受けて、3%以上の活断層だけを抽出します。
階級・断層名・予想マグニチュード・地震確率最大値・主な都道府県・直近の地震
*は私が判断したものですから、下の階級もあり得るものです。
海溝型
AA
| 南海トラフ断層M8~M9(70%) | (南海地震他有史以来12回以上) |
AA | 千島海溝断層M8.1(80%) | (十勝沖地震他1900年以来15回以上) |
不明 | 日本海溝、三陸沖M8.0(30%) | 岩手県沖 |
不明 | 日本海溝、福島沖M7.4(10%) | 宮城県沖 |
不明 | 日本海溝、茨城沖M7.0(70%) | 茨城県沖 |
不明 | 日本海東縁部 佐渡島北方沖M7.8(6%) | 新潟県沖 |
不明 | 相模トラフM7.0(70%) | 神奈川県沖 |
不明 | 日向灘M7.1(80%) | 宮崎県沖 |
陸上型
B
| サロベツ断層帯M7.6(4%) | 北海道 |
B | 黒松内低地断層帯M7.3(5%) | 北海道 |
B | 新庄盆地断層帯M7.1(5%) | 山形県 |
A* | 庄内平野東縁断層帯M7.5(6%) | 山形県:1894年庄内地震 |
A* | 山形盆地断層帯M7.8(8%) | 山形県 |
A | 国府津-松田-神縄断層帯 M7.6(16%) | 神奈川県 |
A* | 三浦半島武山断層帯 M6.6(11%) | 神奈川県 |
A* | 塩沢断層帯M6.8(4%) | 神奈川県 |
A | 富士川河口断層帯M8.0(18%) | 静岡県:駿河トラフの陸上部 |
B | 石廊崎断層(不明) | (伊豆半島沖地震):静岡県 |
A* | 十日町断層帯M7.4(3%) | 新潟県:(新潟中越地震) |
B | 櫛形山脈断層帯M6.8(5%) | 新潟県 |
A* | 高田平野東縁断層帯M7.2(8%) | 新潟県 |
AA | 糸魚川-静岡構造線活断層系 M8.0(30%) | 長野県:フォッサマグナ西縁 |
A | 信濃川断層帯(不明) | (善光寺地震):長野県 |
A | 伊那谷断層帯M8.0(不明) | 長野県 |
A* | 境峠・神谷断層帯M7.6(13%) | 長野県 |
B | 木曽山脈西縁断層帯M6.3(4%) | 長野県 |
B | 国府断層帯M7.2(5%) | 岐阜県 |
A | 阿寺断層帯M6.9(11%) | 岐阜県:1586年天正地震 |
B | 砺波平野断層帯M7.0(6%) | 富山県 |
B | 呉羽山断層帯M7.2(5%) | 富山県 |
A* | 森本・富樫断層帯M7.2(8%) | 石川県 |
A | 琵琶湖西岸断層帯M7.8(3%) | 滋賀県 |
B | 奈良盆地東縁断層帯M7.4(5%) | 京都府、奈良県 |
B | 上町断層帯M7.5(3%) | 大阪府 |
A | 中央構造線M8.0(14%) | 和歌山、徳島県、愛媛県 |
B* | 安芸灘断層群M7.0(10%) | 広島県 |
不明 | 宍道(鹿島)断層(6%) | 島根県 |
不明 | 弥栄断層(6%) | 島根県 |
B | 周防灘断層帯M7.1(4%) | 山口県 |
A* | 菊川断層帯M8.0(4%) | 山口県 |
B* | 警固断層帯M7.7(6%) | 福岡県:2005年福岡県西方沖地震 |
B* | 日奈久断層帯M8.0(16%) | 熊本県 |
不明 | 雲仙断層群M7.5(4%) | 長崎県 |
B | 別府-万年山断層帯M8.0(4%) | 日本では珍しい正断層:大分県 1596年慶長豊後地震 |
東海・東南海・南海の3連動地震については、江戸時代に起こった宝永地震がよく比較されます。宝永地震もまた3連動型の地震で、東日本大震災が起こるまでは日本史上最大の地震と言われていました。起こったのは、1707年10月28日(太陽暦に変換しています)のことですから、観測機器もなく、各地に残っている地震の記録によって震度等の計算を行っています。マグニチュードの推定値は、研究者によってかなり異なり、Mw8.4~Mw9.3まで多々の説があります。Mw9.3なら東日本以上です。
40を超える城の櫓や石垣が被害を受け、薩摩で4以上、八戸でも3程度の推定震度がありました。さらに中国の湖州市にも有感地震があったと記録されています。
津波は伊豆半島から九州までが被害に逢い、一部は済州島まで到達したという記録もあるようです。津波は波高の他に、陸上や河川を駆け上がる遡上高の方が被害が多いこともあり、この時には山中の村(神田:海から2kmの山間)まで津波の被害が出ています。また、土佐湾各地は全滅しています。
宝永地震の波高は研究者でかなり差がありますので、その最大値を書いておきます。
【和歌山県】那智勝浦(7m)、串本(17m)、田辺(13m)、広川(14m)
【大阪府】堺(2.5m)、大阪(3.6m)
【兵庫県】明石(1.5m)、赤穂(3m)
【太平洋側】江戸(1m)、八丈島(6m)、下田(6.7m)、鳥羽(24m?)、名古屋(3m)、志摩(8m)、尾鷲(10m)、室戸(7.5m)、安芸(10m)、夜須(15m)、高知種崎(23m)、土佐(25m)、須崎(22m)、土佐久礼(26m)、土佐清水(16m)、佐伯(11.5m)、延岡(4.5m)、種子島(8m)
【瀬戸内側】岡山(3m)、福山(1.5m)、三原(2m)、徳山(1.5m)、高松(3m)、伊予西条(2m)
被害は、死者2万人以上、倒壊家屋6万戸、津波による流失家屋2万戸と言われています。防災設備ができていなかったとはいえ、日本の人口は1200万人で現在のほぼ1/10に当たりますから被害の大きさがわかると思います。
宝永地震の49日後、富士山の宝永大噴火が起こっています。火山性の地震が数十回起こり、富士山側面から噴火しました。焼けた石が東側に降り注ぎ、家屋は焼け田畑は石に埋もれたと記録されています。夕方には噴火の火柱と火山雷が見えたと書かれています。富士山東麓から江戸までの間で降灰があり、御殿場では最大厚さ3mにも達しました。宝永地震の影響で、大きな震動によりマグマ中の水分や二酸化炭素などの揮発成分が分離したという説があります。ビールやコーラを振ったような状態になり噴火したと考えて下さい。
関東地方の方は、地震だけでなく富士山の噴火にも注意して下さいね。
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