あれはいつの頃だったのか忘れたが、じいさんが近所の水族館に連れて行ってもらったことがあります。水族館といっても小さいもので、そこらの海で泳いでいるような魚が、水槽の中を泳いでいるだけのところです。何しろ、メインがペンギンです。今なら入場料も取れないような施設だったが、ちゃんと入場料だけは取っていました。
何しろ昭和40年頃の話です。大阪万博もまだ始まっていなかったし、新幹線に至っては東京・新大阪間が先日開業したような時代です。東名高速道路はまだ開通していませんでした。国道2号線でもあちこちが土道だったが、車もあんまり通りませんでした。今の人には信じられない時代でしょう。
じいさんは、私をかわいがってあちこちに連れて行ってくれました。しかし、晩年に認知症にかかり、貴重な介護体験をさせてもらった挙句、大学入試の直前に死ぬこととなってしまい、かわいがってもらった分は半ば帳消しになってしまいました。
さて、その小さな水族館にはほとんど客がいませんでした。メインのペンギン舎はなぜか屋外にあったが、その前にもやはり誰もいませんでした。私が近づくとエサをもらえるのかと思ったのか、1匹のペンギンが寄ってきましたが、ペンギンは全部で5~6匹しかいなかったような気がします。金網の目が粗かったのだろうが、私が指を突っ込んでみると、ペンギン側まで指が通り抜けました。今なら安全管理の不行届きでしょうが、当時はそんなことのない時代です。ペンギンに触ろうとしたのかどうか、多分そうなんでしょうが、自分では覚えていません。
いきなりペンギンがくちばしで私の指を突つきました。血が出ましたし、驚いて泣いたかも知れません。じいさんは驚いて、私を連れて逃げるように帰ってしまいましたが、係員は出てきませんでした。なにしろ50年ほど前の話であるから、私もよく覚えていません。しかし、ペンギンに突かれたのは、日本広しといえども、係員を除けばそんなにいないのではないかと思い、60歳になっても自慢げに話す私です。
なお、ペンギンは鳥ですから、鳥インフルエンザの恐れがあります。ペンギンにくちばしで突かれたときは、【第3類医薬品】イソジンきず薬 30mLでしっかり消毒を忘れないように。
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