あれは阪神淡路大震災の頃でしたか、黄道12宮の星座が黄道13宮と分かったのは・・・。へびつかい座が黄道12宮に割り込んできて黄道13宮になったのです。13の星座が等分されているのかと思いきや、さそり座が随分とひどい目に会っているようです。星占いは「黄道12宮で占う派」と「黄道13宮で占う派」とに分かれましたが、多くのものは黄道12宮に戻っています。
いきさつは、1995年に天文学者のジャクリーン・ミットンが、イギリスの新聞『デイリー・テレグラフ』のジョーク記事で、「占星術での『星座』の概念は天文学的にはおかしい。占星術を正しく行おうとするのなら歳差によるズレを修正して、さらに現在の天文学の星座区分で12星座以外に黄道上にある『へびつかい座』も入れるべきだ。」と指摘し、占星術家達を揶揄したことが始まりとされています。
(いくつか補足すると、歳差は地軸の首振り運動のことで何千年後には北極星が変わるというアレです。25800年で1周して、現在の場所に戻ります。学校ではこまのようにバランスをとるためと教えるが、これは間違いで、23.4度傾いた楕円体にかかる太陽の引力が動力になります。但し、星座のズレは歳差の影響ではないとする説もありますが・・・。次に天球は星のないところも全て星座名を持っています。住所のようなものだと思って下さい。)
日本ではこの黄道13宮占いが流行りましたが、ミットンが従来の占いの否定を行わなかったこと、13という数字は不吉とされていること、なにより、言い出した本人がパーティー用のジョークで考えたものでどうでもよかったことなどから、現在は星座占いは黄道12宮が主流です。ブームに乗って黄道13宮にした日本の星占いが馬鹿を見た結果となってしまいました。しかし現在でも、黄道13宮占いは残っていますし、88星座全部を使おうというのまであるようです。どう使うのか分かりませんが。
ついでにへびつかい座のいわれを少し。ギリシャ神話から来ています。
へびつかい座は、巨人が両手でへびをつかみ、片足でさそりの胸を踏みつけている星座です。ギリシャ神話ではこの巨人は太陽神アポロンと王女コロニスの間に生まれたアスクレピオスで赤子の時から顔が輝いていました。アポロンの使いのカラスは人の言葉を話し銀色の羽根を持つ美しい鳥でしたが嘘つきで、アポロンはカラスにコロニスが浮気していると騙されて、コロニスを射殺しました。アポロンはカラスに騙されたのを知ると、カラスから言葉を奪い、醜い黒色に変え、見せしめに天にさらしものにしました。
さて、アスクレピオスは馬人ケイローンに預けられ、神医と呼ばれるギリシャNo1.の名医となりました。彼はヤーソンと共にアルゴー船(王位を継ぐために金色の羊の皮を取りに行った船:アルゴー座は日本からは1/3ほどしか見えない)に医師として乗りこみ、傷を治し、死者さえも蘇らせました。何せ、神医ですから。
冥界の神プルトーンは死者が来ないので、大神ゼウスに困っていることを告げると、ゼウスは雷撃でアスクレピオスを殺しました。そして、神医として星座にしました。へびはアスクレピオスの使いと信じられ、疫病が流行るとアスクレピオスがへびの姿となって現れると伝えられています。
ギリシャ神話はいくつかの話が絡み合っているので、書きにくいです。登場人物は上記の数倍りのぼります。人間?関係も複雑・ドロドロで、例えばアポロンはゼウスと愛人レトの間にできた子ですから、アスクレピオスはゼウスにとって孫になります(ちなみにゼウスと正妻ヘラは兄妹です)。これを殺す話と知ればまた印象も変わってくるでしょう。カラスの話も実際にコロニスが恋人と密通していたとの話もあります。下手な昼メロよりよっぽどドロドロの世界です。
なお、アルゴー船の話は、ONE PIECEの原型みたいでおもしろい話です。
なお、アルゴー船の話は、ONE PIECEの原型みたいでおもしろい話です。
私は星座に興味がありましたので、天体物理学の傍らギリシャ神話も勉強していました。資料はけっこうあるのですが、とにかく忘れている部分が多くて・・・。
間違っているところがあれば笑ってやって下さい。
間違っているところがあれば笑ってやって下さい。
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