科学的には、酵素でダイエットはできません。
私は時々こういったサプリの効果に否定的な話を書くことがあります。まあ、気に入らない人もいるのでしょうが、効果が認められればサプリではなく医薬品であるということです。サプリの広告の端の方に「これは個人の感想で効果を保証するものではない」文言があると思います。というより、かならずあります。ないと薬事法違反に問われることがあります。
酵素の主成分はタンパク質ですから、酵素自体は体内で生合成されたものです。酵素の主な役割は触媒です。では、ここから説明していきますが、化学が分かる人にはつまらん話なので、適当にすっ飛ばしてお読みください。
生合成とは、生物が身体の構成成分である分子を作り出すことをいいます。酵素もこのシステムによって作られます。しかし、生合成ができないものもあり、これを必須栄養素と言います。必須アミノ酸やビタミン、ミネラルなどのことです。
タンパク質を食べると、胃と小腸内で、タンパク質がいくかのアミノ酸に切断されます。さらに、小腸粘膜上にある微絨毛で膜消化を受け、アミノ酸一個から、二、三個までの大きさに切断されて、小腸上皮細胞内に吸収されます。同じように、タンパク質である酵素も、食べれば体内でアミノ酸単位に分解されないと、吸収されません。つまり、経口で酵素を摂取した場合、「酵素」の形のまま体の中で働くことはありません。
酵素は種類ごとに性質が異なり、1種類の酵素は1種の働きしかできません。この働きを管理しているのがDNAという遺伝子です。生合成される酵素は必ず遺伝子による情報を組み込まれます。すなわち酵素は個人個人の固有のもので、また、必須アミノ酸を使わない酵素は通常の食事で作れるものなのです。
これで酵素の説明は終わりですが、「そう言っても誰それの場合は効果があった」と言う人がいます。特にダイエットにかかる場合は、置き換えダイエットと言って食事の量を減らしていたり、運動量を増やしていたりと複雑な要素が入ってきます。また、効果があるはずだと思う「思い込み」が現れる(プラシーボ効果)場合もあります。実際に効果を証明するなら、2000例ぐらいの調査が必要でしょうね。とは言え、大きな企業では同条件で2000例の調査は可能なはず。なぜ、それをやらないのでしょうか。
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