2017年6月6日火曜日

双極性障害の自殺

双極性障害はかつて「躁うつ病」といわれており、その中に「うつ病」という名前がついていたので、うつ病の一種と思っている方もおられます。しかし、「双極性障害」は、うつ病ではありません。違う病気ですから、効果のない薬もあります。

そうは言っても一度診察しただけでは区別がつきません。従って、双極性障害をうつ病と診断をしてしまうことがよくあります。
双極性障害には「1型」と「2型」という2つのタイプがあります。躁状態の時に、気が大きくなり、騒いだり大きな買い物をしたり他人に迷惑をかけてしまったり、つまり異常にハイになるタイプを1型、ちょっと陽気な程度のもの、場合によっては病気が治ったと思われるタイプを2型といいます。

1型は躁状態もうつ状態も「日常生活を送れないほど重症」となりやすく、2型は躁状態は少し陽気になる程度なので、反復性うつ病、場合によってはうつ病の再発とされてしまうことも多いようです。こう書いてしまうと、1型より2型の方が軽いと思われがちですが、実際はそうとも言い切れないのです。

双極性障害は25人に1人の割り合い発病しますが、自殺完遂率は15%の危険な病気です。双極性障害はうつ状態の期間が長く、病気の期間のうち双極性障害Ⅰ型では31.9%、双極性障害2型では50.3%の期間がうつ状態です。うつ状態がより長い傾向にある2型は1型より自殺のリスクが高くなります。そして双極性障害の特徴として、他の精神疾患より自殺行動および自殺念慮が高い確率で発現することです。双極性障害患者の自殺既遂の生涯発症率は15%で、双極性障害患者の25~50%は少なくとも1回の自殺企図の経験があるということです。

よく精神疾患を「気のせい」「遺子が弱い」「やる気がない」などという人がいますが、精神論で片付けられる問題ではないのです。私の知り合いにも会社の上司に「気のせい」「査定に影響する」と言われ、悪化させてしまった人もいます。病気とはいえ、休んでいるんだから査定に影響するのは当然でしょうが、配慮に欠ける言葉ではないでしょうか。私たちも相手に対する言葉には気をつけなければなりませんね。

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