2017年7月9日日曜日

デブ菌・ヤセ菌という菌が現れた。

最近、あちこちで、デブ菌・ヤセ菌という新しい言葉を見ることが多くなりました。あるサイトには、クロストリジウム・ブドウ球菌・ベーヨネラ・バクテロイデス・メタン菌と書いてあります。また、あるサイトには、ファーミキューテスとあります。

生物学をやった人なら分かると思いますが、生物の分類は、上位から、ドメイン・界・門・(亜門)・綱・(下綱)・目・(亜目)・(下目)・(上科)・科・(亜科)・族・(亜族)・属・種となります。ファーミキューテスはファーミキューテス門(一般にはフィルミクテス門)といいます。以下、真正細菌ドメインのクロストリジウム属・ブドウ球菌属、メタン菌は古細菌ドメインのユリアーキオータ門に入ります。ちなみに人間は、真核生物 ドメイン動物界 脊椎動物門 哺乳綱 ヒト科 ヒト族 ヒト属 ホモ・サピエンス種です。同様に、ヤセ菌というのはバクテロイデス門の細菌です。

さて、このデブ菌として知られているファーミキューテス門の細菌は、実際には人を太らせるかどうかは分かっていません。分かっているのは太った人にファーミキューテス門の細菌が多いということです。「同じじゃないか」と思う方もおられるでしょうが、実は全く違います。原因と結果が入れ替わると成立しなくなるものは結構多いのです。「肺炎だから咳が出る」のは誰でも正しいと思いますが、「咳が出るから肺炎だ」と思う人はいないでしょう。まず、風邪を疑いますよね。だから、実はデブ菌は人を太らせるかどうかは不明です。

ヤセ菌と言われているバクテロイデス門の細菌については、マウスに注射したところ痩せたという研究や、不健康な餌を与えていると痩せないという研究もあり、どうも痩せることは痩せるが、食生活が大きな影響を持っているということになりますね。人間のデータがありませんので、痩せるというよりは、「痩せやすい体質になる可能性が増える」というあたりでしょうか。

しかし、デブ菌=悪玉菌、ヤセ菌=善玉菌ではありません。人間と共生している生物に対して、善悪の判断を行うこと自体が間違った考えです。私は善玉菌や悪玉菌のみならず、デブ菌やヤセ菌などという言葉は嫌いです。例をあげれば、ファーミキューテス門の細菌には、ガゼリ菌・納豆菌・乳酸菌などのいわゆる善玉菌が含まれます。
実際は、ファーミキューテス門の細菌は体内に脂肪を吸収させる作用がありますが、ビタミン類の生成の役割も担っていますし、バクテロイデス門の細菌はビタミン合成や免疫修復作用がありますが、有害な腐敗性物質を生成します。

ファーミキューテス門やバクテロイデス門の細菌は日和見菌といわれているものです。日和見菌というのは、健康な時は何もないが、体調が悪くなると病原体となり得るものでのことです。

結局は、これらの細菌が効率的に働くように、食事の回数・量・種類など、バランスをとって食べるのが良いようですね。

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